小学生の苦手な算数
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塾講師の引き出し-時間と数直線
これもNHK、Eテレの番組での抽象的思考のお話ですが、お母さんが食卓で子供の宿題をみている場面があり、「あゆみさんは、午後3時55分から午後5時20分までピアノの練習をしました。練習していたのは何時間何分でしょうか。」という問題でした。
筆算で時間の計算?
この問題を子供は得意の筆算で解こうとします。つまり520-355=165としてしまいました。これを見たお母さんは「1時間は60分だよね。」と言ってなおも繰り下がりのある引き算で解き進めようとします。でもやっと時計の見方を勉強したばかりの子供には、60分で繰り下がりの計算をしろと言っても数字を並び替えるだけで全くイメージが湧いてこず、ますます頭の中は混乱していくばかりです。
図を描いてビジュアル化する
ここで算数の先生が出てきて一本の線を引き午後3時から午後6時までの時間を図に描きます。
午後3時 午後6時
I------------------I------------------I------------------I
ここで、子供に「午後3時55分てどこ?」って聞いて、子供に直接線分上に午後3時55分を書いてもらいます。さらに午後5時20分を書いてもらえば、複雑な時間の計算を量としてとらえることができるようになり、苦手な引き算を使わなくても、
午後3時 55分 20分 午後6時
↓ 1時間 ↓
I------------------I------------------I------------------I
5分+1時間+20分=1時間25分という簡単な足し算で答えが簡単にわかるようになります。
抽象的思考の大切さ
以上のような番組内容でしたが、このように文字を図に直してビジュアル化し、頭の中を整理してやるという作業はこの算数の時間計算の例に限らず中学・高校数学、さらには理科や文系の教科、国語・英語・社会でさえも複雑な問題を理解するためには大きな助けになってくれる思考方法で、私も問題で行き詰っている生徒がいると、必要に応じて絵や図、グラフを描いて考えるように促しますし、自分が説明するときにも下手な絵ですができるだけすビジュアル化して説明し、理解してもらうように努めています。
さらに、このビジュアル化の作業は、実社会の中でも私たちは相手に複雑な内容の理解を求める時、あるいは頭の中で自分の考えがうまくまとまらない時には、知らず知らずのうちに図を描いて理解しようとすることがありますよね。このように、学校の勉強に限らず私たちが生活し、仕事をこなしていく上で、問題解決のためには抽象的思考は大きな手助けになってくれる手法です。
さくらんぼ計算
もう一つ、皆さんは「さくらんぼ計算」ってご存知でしょうか?私は塾では「さくらんぼ計算」って名前があるのを知らずにその方法を子供たちに教えていたのですが、その方法はこうです。たとえば7+6の問題で、7にいくつ足すと10になるかを考えて、6を3と3に分けるのです。
7 + 6
^
3 3
こうしてやれば7+3=10となり、残りの3を足して13という答えが簡単に出てきます。
さくらんぼ計算は、このように6を3と3の二つに分ける形がさくらんぼに似ているのでさくらんぼ計算というようですが、これも数字をわかりやすく図に表わしたもので、抽象的思考を利用した一つの考え方です。